少女BBS

ひとりごとだけどっ

全ては悲惨な思い出の陽だまりだった

 

最近、帰りの電車で、小学校のときの友だちのかおりちゃんとそっくりな子を見かける。

見るたびに、それがかおりちゃんなのかどうか知りたくなった。わたしは、喉元につっかかる行動を視線に変えて、ただ、その子のエンジェルブルーの手提げカバンを見つめていた。

ある日、その子が、席がない中でドア前で地べたに座り込んでいた。雨の日の電車の床だった。
私は、席を譲りたくて声をかけた。
そしたら、「大丈夫、」って言われた。

声も話し方も、発し方が昔より、大人っぽい。

そして、もう一回聞いてしまい、もう一回、
「大丈夫、」と言われた。

それからは 2回目を後悔しながら下を向いていた。影が風景に変わり、揺れ続けていた

かおりちゃんじゃないんだろうけど、わたしは忘れられません!

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クラスでかおりちゃんが、給食の時間 牛乳瓶で頭を小突かれた
アタシは、これが、本当に、許せなかった
腸が煮えくり返るほど、許せなかった

だからアタシはいじめっ子めがけて、
「ちょっと、なにしてんの!!?!!!」といじめっ子に咄嗟に怒鳴ってみたことが


ない。


アタシは、友達のいじめっ子の幼馴染に睨まれて、かおりちゃんと手を繋がなかったことが


ある。


アタシは、臆病だった

だから、オカンに言いつけて、連絡帳に先生に生徒の悪事を書いてもらった

何も変わらなかった

アタシは、それでも、「ちょっと、何してんの?!」と 帰り道、かおりちゃんをいじめた子に怒鳴ったことがある

ちょっと〜 何してんの〜✨

何してんの〜✨

してんの〜✨

の〜✨

ちょっと怒鳴り方を真似されて笑われて、スルーされただけだった。

かつてバナナマンの日村が「この世界の人間は二種類に分けられる。舐める人間か、舐められる人間か、なんですよ!設楽さんは、舐める側でしょ?ボクは舐められる側」と深夜のバラエティー番組で説いていたことを、強く思い出した。アタシは、日村だった。完全に、日村の言ってることが、わかった。

アタシは、かおりちゃんをいじめる子のいるグループのカスカベ防衛隊みたいなグループに入れさせてもらっていたことがあった。そこで、ひみつの交換日記をしていたが、交換日記に「脱退します!本当に、ごめんなさーい‼️」と書いて、渡したあと、めっちゃ嫌われた

そこからはよく、学校帰りかおりちゃんと、たくさんのことをした。
アタシは、はじめてかおりちゃんと同じ歩幅で歩いた日の時間の過ぎ方、日の落ち方を、よく憶えている

かおりちゃんは、一歩がとことん小さかったから どんどん部団が遠くなっていった
いじめっ子気味だったアタシの友達も、みるみるうちに遠くなっていった
ゆっくり踏み締めたら、コンクリートの白い壁が、実はクリーム色だったことにも気がついた
かおりちゃんとアタシにだけ日が落ちた帰り道だった。



かおりちゃんの家で、よく図書館ごっこをして、遊んだ。かおりちゃんに、「これ…面白いから!」と屈託のない笑顔で漫画を勧めてもらった。おそらく、かおりちゃんのお姉ちゃんの持つ漫画だ。さっそく借りて家に持って帰ったら、オカンに「アンタにはまだ早い!」と怒られた

オカンに線を3本書いて、ハシゴに似たその単語がなにか聞いたのだ

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しばらくすると、先生がかおりちゃんとアタシを絶対ペアにした

アタシは、かおりちゃんと過ごす修学旅行で 寝るときに電気を消せなかったり ちょっと楽しみだった しいたけ取りが、かおりちゃんの靴紐を結ぶことを見守って、ひとつもしいたけをとれなかった苦労も、確かに感じた。組み立て体操のペアになったとき、アタシの膝の上で姿勢をとった時にうんちを漏らしていた!と下校中、早口に打ち明けられたことも、懐かしい。

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中学生になって、いじめっ子気味だった友だち含めてみんな、まるごとすっかりやさしくなった

アタシは、かおりちゃんとペアにならなくなった。

特別学級ができて 私は吹奏楽部に入って、もう、下校時間が合うことも減った。

ある日、

なんとなく覗いた近所のお祭りで、わたしはかおりちゃんを見かけた。

昔のいじめっ子と、かおりちゃんが笑って話していた。
かおりちゃんも、いじめっ子も、笑っていた。

わたしは、いじめっ子よりもかおりちゃんとうまく話せなくなっていた。

それでもかおりちゃんは変わりなくハイタッチをしてくれた。

しばらくして、やさしくなったいじめっ子や、めっちゃ仲の悪い後輩と取り組んだ、最後の吹奏楽コンクールは、銀賞に終わった。練習中、泣きはしても喧嘩しなかったから、そうだろうとは思った。先生曰く、銀賞の一位だったらしいが、誰も銀の一位おめでとう!とは言わない、銀は銀だ…
金賞になるときは、大体ヒステリックな喧嘩が必ずある。
本音の衝突の後の、金賞ゴールド。
銀の一位は、私たちらしい最後だった。

もうすぐ卒業だってのに、わたしはわりと、捻くれていた。

あれから、昔は旅立ちの日にを歌うことに憧れていたのに、それすらも少し、斜に構えて合唱練習をした

それでもやっぱりやっぱり、旅立ちの日には いい曲だった


良いことにも、醜さは混じる
悪いことにも 
だからあたたかな黄色になる✨
ただ、全ては悲惨な思い出の陽だまりだったっ!

校庭の木陰混じりのアスレチックから眺めて、一目瞭然だ


陽だまりの中、もらった紅白饅頭をもって、グラウンドの砂の上 あるいは芝生の上

いつもより白い真珠をつけたオカンの芳香剤のようなスーツの匂い

なにもかも、なくなっていた
そう、みんな過ぎたのだ…

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そんな卒業の数年後、私は今
休学した学校に、2年休学したのち、もう一回行っている。

そんなとき

エンジェルブルーの手提げカバン

昔のまんま、

かおりちゃん!?

いや、

かおりちゃんのような少女がいた

いつかまた、ハイタッチくらいは、できないかな

それからたまに、見かけるその少女と、今日もまた、電車をすれ違うのだっ